「バーを開きたいのですが、女の子に隣について話してもらうこともあるかもしれません。何の手続きが要りますか」
熊本でバーやスナックを開く方から、よくいただくご質問です。お店の形は同じように見えても、何時まで開けるかと、お客様の「接待」をするかどうかで、要る手続きが変わります。
結論から書きます。0時までで接待をしないなら、保健所の飲食店営業許可だけで開けます。0時以降もお酒を出すなら、それに加えて警察に深夜酒類提供飲食店営業の届出をします。接待をするなら、時間にかかわらず風俗営業の許可(1号営業)が要ります。 ただし、接待をしなくても、店内を10ルクス以下に暗くするお店や、外から見通せない小さな客席を設けるお店は、風俗営業の許可が要ります(よくある質問で説明します)。
この記事では、3つの手続きの違いと、「接待」に当たる行為、許可が出る前に接待をしてはいけない理由を順に説明します。
この記事のポイント
- どのお店でも、まず保健所の飲食店営業許可が要ります
- 0時から6時までの間もお酒を出すバーは、警察に深夜酒類提供飲食店営業の届出をします。届出は深夜の営業を始める日の10日前までです
- お客様の隣について談笑したり、お酌を続けたりする「接待」をするなら、時間にかかわらず風俗営業の許可(1号営業)が要ります
- 1号営業の許可を受けたお店は、原則として0時から6時までは風俗営業を営めません
- 許可の前に接待をすると無許可営業になり、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)の対象です
3つの手続きの違い

バーやスナックで要る手続きは、次のように整理できます。
| お店の形 | 保健所 | 警察 |
|---|---|---|
| 0時までで、接待をしない | 飲食店営業許可 | 不要 |
| 0時以降もお酒を出し、接待をしない | 飲食店営業許可 | 深夜酒類提供飲食店営業の届出 |
| 接待をする(時間にかかわらない) | 飲食店営業許可 | 風俗営業の許可(1号営業) |
飲食店営業許可は、食品衛生法第55条にもとづく許可です。風営法の届出や許可を受けるお店も、飲食物を出す以上、この許可は別に取ります。風営法は、届出の対象になる「飲食店営業」を、食品衛生法の許可を受けて営むものとしています(風営法第2条第13項第4号)。
「接待」に当たるのはどんなことか

風営法は、「接待」を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定めています(第2条第3項)。警察庁の解釈運用基準は、特定のお客様やグループに対して、単なる飲食に通常伴う程度を超える会話やサービスをすることだと説明しています。
解釈運用基準が挙げている例は、次のとおりです。
- 接待に当たる:特定少数のお客様の近くにはべって、続けて談笑の相手になったり、お酌をしたりする。お客様に歌を勧めて手拍子をする、一緒に歌う。お客様と一緒にゲームをする
- 接待に当たらない:お酌や水割りを作ってすぐにその場を離れる。カウンターの中で注文に応じてお酒を出すだけで、あいさつや少しの世間話をする程度。料理や飲み物を運ぶ、食器を片付ける
カウンター越しにお酒を出して少し話すだけのバーは、接待に当たりません。従業員が特定のお客様の隣や正面に座って、続けて話し相手をするお店は、接待に当たります。 接待をするのは従業員に限られず、名前が何であっても同じです。
0時以降もお酒を出すなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出

風営法は、0時から6時までを「深夜」としています(第13条第1項)。バーや酒場のように、お客様にお酒を出す飲食店営業を深夜に営むときは、営業所ごとに公安委員会へ届出書を出します(第33条第1項)。届出は警察署を経由して出し、深夜に営業を始めようとする日の10日前までに提出します(同法施行規則第103条第3項)。
届出なので、許可のような審査を待つ必要はありません。そのかわり、お店の構造と設備を国家公安委員会規則の基準に合うように保つことが求められます(第32条第1項)。
ただし、営業の常態として、ご飯・パン・麺類などの主食を出しているお店は、ここでいう「酒類提供飲食店営業」に当たりません(第2条第13項第4号)。また、条例で深夜の酒類提供飲食店営業を禁止している地域もあります(第33条第4項)。お店の場所を決める前に、その場所で深夜の営業ができるかを見ます。
なお、ナイトクラブのように、設備を設けてお客様に遊興をさせながら深夜にお酒を出す営業は、この届出ではなく、特定遊興飲食店営業の許可が要ります(第2条第11項・第31条の22)。
接待をするなら、時間にかかわらず1号営業の許可

「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」は、風俗営業の1号営業です(第2条第1項第1号)。キャバクラ・スナック・ラウンジなど、名前にかかわらず、接待をするお店はここに入ります。営業所ごとに、公安委員会の許可を受けなければなりません(第3条第1項)。
1号営業の許可を受けたお店は、原則として0時から6時までは営業できません(第13条第1項。条例で定める地域・日の例外があります)。0時以降もお酒を出したいからといって、同じお店で接待を続けることはできません。
風俗営業を終えたあと、同じお店で飲食店として営業を続けることもできますが、解釈運用基準は、すべてのお客様と接客の従業員を帰らせ、会計も分けて、営業のつながりを完全に断つことを求めています。
また、風俗営業は、条例で定める地域では許可を受けられません(第4条第2項第2号)。物件を契約する前に、その場所で許可が取れるかを見ておくことが大切です。
許可の前に接待をしてはいけない理由

許可を受けないで1号営業をすると、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象です(第49条第1号)。法人の業務として行えば、法人にも3億円以下の罰金が科されます(第57条第1項第1号)。この罰則は、令和7年6月28日に施行された改正で、それまでの「2年以下・200万円以下」から重くなりました。
罰金で済めばよい、という話でもありません。この罪で罰金の刑を受けると、その執行が終わってから5年を経過するまでは、風俗営業の許可を受けられません(第4条第1項第2号)。開業を急いで許可の前に接待を始めると、そのお店で許可を取る道そのものが閉ざされます。
許可の申請中に「接待あり」「キャスト在籍」と SNS やウェブで宣伝するのも避けます。許可の無いまま接待の営業をしていると受け取られかねないからです。接待のあるお店としての宣伝は、許可が出てからにします。
開業を急ぐときの進め方

内装工事や許可の審査を待つ間に家賃がかかるので、早く開けたいというご相談は多くあります。その場合は、次のように段階を分けて進めることがあります。
- まず保健所の飲食店営業許可を取り、接待をしないバーとして開ける(0時以降もお酒を出すなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出も出す)
- 並行して、1号営業の許可を申請する
- 許可が出てから、接待のある営業に切り替える
このとき、許可が出るまでは、接待に当たることを一切しないことが前提です。また、許可を受けたあとに0時以降も同じお店で飲食店として営業を続ける場合は、上に書いた「営業のつながりを断つ」ことが必要になります。許可が出るまでの期間の目安と、申請の段取りは、「熊本で風俗営業1号の許可は何日で出る?飲食店営業許可との順番と書類」で詳しく説明しています。
よくある質問
0時までで接待をしないバーなら、警察への手続きは要りませんか
要りません。0時までで接待をしなければ、風営法の届出も許可も要らず、保健所の飲食店営業許可で開けます。ただし、照明を10ルクス以下に暗くするお店や、外から見通せない5平方メートル以下の客席を設けるお店は、接待をしなくても風俗営業(2号・3号)に当たります(第2条第1項第2号・第3号)。
深夜酒類提供飲食店営業の届出を出せば、接待もできますか
できません。深夜酒類提供飲食店営業の届出は、接待をしないお店が深夜にお酒を出すための手続きです。接待をするなら、1号営業の許可が要り、許可を受けたあとも0時から6時までは原則として営業できません。
カウンター越しに話すだけでも接待になりますか
カウンターの中で注文に応じてお酒を出し、あいさつや少しの世間話をする程度なら、接待に当たりません。特定のお客様の近くにはべって、続けて談笑の相手になると接待に当たります。どちらになるかは、店内の配置と従業員の動き方で決まるので、図面と営業の仕方を伺って判断します。
届出の10日前とは、いつまでに出せばよいのですか
深夜に営業を始めようとする日の10日前までに、警察署を経由して届出書を出します。届出書には営業の方法を記載した書類などを付けます(第33条第3項)。開業日が決まったら、そこから逆算して書類をそろえます。
出典・参考
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)…第2条・第3条・第4条・第13条・第31条の22・第32条・第33条・第49条・第57条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)…第103条
- 食品衛生法(e-Gov法令検索)…第55条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)(警察庁)…第2「接待飲食営業の定義について」、第17の2「営業時間の制限」
まとめ
- どのお店でも、保健所の飲食店営業許可が要ります
- 0時以降もお酒を出すなら、深夜に営業を始める日の10日前までに、深夜酒類提供飲食店営業の届出を出します
- 接待をするなら、時間にかかわらず1号営業の許可が要り、許可後も0時から6時までは原則として営業できません
- 許可の前に接待をすると、重い罰則があり、その後5年間は許可を受けられなくなります
- 早く開けたいときは、接待をしないバーとして開け、並行して1号営業の許可を申請します
風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店営業の届出は、当法人にご相談ください
ノーサイド行政書士法人は、熊本で風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店営業の届出を支援している行政書士法人です。
- お店の形と営業時間を伺い、要る手続きを整理します
- 物件の場所で許可や届出ができるかを、契約の前に見ます
- 飲食店営業許可と、警察への届出・許可の順番を、開業日から逆算して組み立てます



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