熊本で、スナック・ラウンジ・キャバクラなど接待のあるお店を始める方から、よく次の2つのご質問をいただきます。
- 「風俗営業1号の許可が出るまでの間、深夜酒類の届出でプレオープンして深夜に営業し、許可が出たら接待を始める、ということはできますか」
- 「いま深夜酒類の届出でバーを営業しています。これから接待をするようにしたいのですが、どういう手続きが要りますか」
どちらも、行き着く先は同じです。接待を始めるには1号の許可が要り、許可が出るまでは接待ができません。 そして1号の許可を受けて接待の営業を始めると、そのお店は風俗営業として原則0時で閉めることになります(熊本では、一部の地域と決められた日だけ1時まで)。それまで深夜に営業していたお店は、深夜の営業をやめて廃止の届出をするのか、条件を守って続けるのかを決めておく必要があります。
この記事では、1つ目の質問、2つ目の質問の順に、手続きと気をつける点を説明します。
この記事のポイント
- 許可が出るまでの間は、接待をしないお店として営業し、接待は許可が出てから始めます
- 1号の許可を受けると、風俗営業は原則として0時までになります。熊本では、一部の地域と、年末年始・お盆の時期・祭りの夜などの決められた日だけ、1時まで延ばせます
- 深夜の営業をやめるなら、深夜酒類提供飲食店営業の廃止の届出を、やめた日から10日以内に出します。0時以降も同じお店で飲食店として続けるなら、お客様も接客の従業員も全員帰し、別会計にするなど、風俗営業との続きを完全に断ちます
- いま深夜酒類で営業しているお店でも、1号の許可は新しく申請します。客室の広さと外からの見通しの基準が深夜酒類より厳しく、学校や病院などからの距離の制限もかかります
質問1:許可が出るまで、深夜酒類の届出でプレオープンできる?

接待をしないお店としてなら、できます。許可が出たら接待を始められますが、その時から風俗営業として原則0時で閉めることになり、深夜の営業をやめるなら深夜酒類の廃止の届出も出します。
プレオープンの間は、保健所の飲食店営業許可を受けて、接待をしないバーなどとして営業します。0時から6時までの間に主にお酒を出す営業(酒類提供飲食店営業)をするなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出をします(風営法第33条第1項・第2条第13項第4号)。お客様の隣に座って談笑するなどの接待は、許可の申請中でも、許可が出る前にすれば無許可営業です(第3条第1項・第49条第1号)。
接待の線引き、届出の時期、許可が出るまで接待をしないお店として開ける進め方は「熊本でバーを開くなら?0時まで・0時以降のお酒・接待ありで違う手続き」、1号の許可が出るまでの期間の目安は「熊本で風俗営業1号の許可は何日で出る?飲食店営業許可との順番と書類」で説明しています。深夜酒類の届出が要るかどうかの線引きと、深夜酒類のお店の造りの基準・届出の図面は「熊本で0時以降もお酒を出すお店に深夜酒類の届出は要る?主食を出す居酒屋は要らない場合も」で説明しています。この記事では、見落としやすい許可が出たあとの話を続けます。
許可が出たら、風俗営業は原則0時まで

1号の許可を受けると、深夜(0時から6時まで)は風俗営業を営めなくなります(風営法第13条第1項)。熊本では、熊本市中央区と八代市の一部の区域、年末年始やお盆の時期、熊本県公安委員会規則で決められた祭りの夜などに限って、1時まで営業できます(熊本県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 第4条、熊本県公安委員会規則)。日付は0時を過ぎたあとの日で数えるので、たとえば条例で1時までとされている12月20日〜翌年1月8日は12月19日の夜から1月7日の夜まで、規則で「祭りの翌日」とされている日は祭りの当日の夜が1時までになります(風営法第13条第1項ただし書の「午前零時以後」。熊本県の条例も、ぱちんこ屋などの営業時間を決めた第5条第1項で「翌日が」特別な事情のある日に当たるときという書き方をしています)。
開業前の収支の計画は、この営業時間で立てておくことが大切です。
許可が出たあとの深夜の営業:やめるなら廃止の届出、続けるなら営業の続きを断つ

許可が出たあとの深夜酒類の届出は、次の2つのどちらかになります。質問1のプレオープンのお店も、質問2のいま深夜に営業しているお店も同じです。
深夜の営業をやめる場合:深夜酒類提供飲食店営業を廃止したときは、公安委員会に廃止の届出書を出します(第33条第2項)。届出書は、廃止の日から10日以内に出します(施行規則第104条で準用する第42条第2項)。様式は施行規則で決まっていて(別記様式第18号)、熊本県警のホームページに載っています。
0時以降も同じお店で飲食店として営業を続ける場合:警察庁の解釈運用基準は、風俗営業を終えたあと、引き続き同じ営業所で飲食店営業を営むことは、時間外営業などの脱法行為を招くおそれがあるとして、営業の継続性が完全に断たれる場合に限って認めるとしています。接待のあるお店では、次の措置が示されています。
- お客様を全員帰らせる
- 接客の従業員も帰らせる(客として残ることもさせない)
- 別会計にして営業する
この形で0時以降にお酒を出すなら、深夜酒類提供飲食店営業として届出のとおりに営業します。その時間は、客室の造りも深夜酒類の基準を保ちます(明るさは20ルクス以下にしないなど。第32条第1項・第2項、施行規則第99条・第101条)。接待のお店の延長として同じお客様に続けてお酒を出すことは、この扱いには当たりません。
質問2:いま深夜酒類で営業しているお店が、接待を始めるには?

1号の許可を新しく申請します。許可が出るまでは接待ができず、許可が出たあとは原則0時で風俗営業を終えるので、深夜の営業をやめるなら深夜酒類の廃止の届出を出します。許可の前に客室の広さ・仕切り・照明などを手直しするなら、深夜酒類の変更の届出も要ります。 許可が出たあとの営業時間と深夜の営業の扱いは、上の2つの節と同じです。
深夜酒類提供飲食店営業は届出、風俗営業は許可で、別の手続きです。深夜酒類の届出をしていても、接待を始めるには、営業所ごとに公安委員会の許可を受けなければなりません(第3条第1項)。
許可の申請書には、次のような書類を付けます(風営法第5条第1項、許可申請書の添付書類等に関する内閣府令 第1条)。
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の使用について権原があることを示す書類
- 営業所の平面図と、営業所の周囲の略図
- 個人なら住民票の写しなど、法人なら定款・登記事項証明書など
- 営業所ごとに選ぶ管理者についての書類(風俗営業者は、営業所ごとに管理者を1人選任します。第24条第1項)
深夜酒類の届出のときに出した平面図があっても、1号の許可の申請書には、営業所の平面図と営業所の周囲の略図を、申請書の添付書類として改めて付けます(府令第1条第3号)。書類の詳しい中身と、保健所の許可との順番は「熊本で風俗営業1号の許可は何日で出る?飲食店営業許可との順番と書類」で説明しています。
許可の審査では、次の2つが深夜酒類の届出のときと大きく違います。お店の造りの基準と、お店の場所の制限です。
お店の造りの基準の違い

1号の許可は、営業所の構造と設備が基準に合わなければ出ません(第4条第2項第1号)。主な違いは次のとおりです。
| 基準 | 風俗営業1号 | 深夜酒類提供飲食店営業 |
|---|---|---|
| 客室の床面積(客室が1室だけなら除く) | 1室16.5平方メートル以上(和風の客室は9.5平方メートル以上) | 1室9.5平方メートル以上 |
| 外からの見通し | 客室の内部が外から容易に見通せないこと | (定めなし) |
| 営業所内の明るさ | 5ルクス以下にしない | 20ルクス以下にしない |
| 客室の見通し・施錠・装飾 | 見通しを妨げる設備を置かない、客室の出入口に鍵の設備を付けない(外に直接通じる出入口は除く)、など | 同じ |
(風営法施行規則 第7条・第99条・第101条)
1号のほうが厳しいのは、客室の広さと外からの見通しです。客室が2室以上あり、深夜酒類の基準に合わせて1室を小さく仕切っているお店や、外から店内がよく見えるお店は、1号の許可の前に手直しが要ることがあります(客室が1室だけなら、広さの基準はかかりません)。明るさは深夜酒類のほうが厳しい(20ルクス)ので、深夜酒類の基準を保っていれば1号の明るさの基準には収まります。
いま深夜酒類で営業しながら手直しの工事をするときは、注意がひとつあります。客室の位置・数・床面積の変更、壁などの仕切りの変更、照明設備の変更、音響・防音設備の変更、大規模の修繕・模様替えは、深夜酒類提供飲食店営業の変更の届出の対象です(第33条第2項、許可申請書の添付書類等に関する内閣府令 第22条)。変更の届出は、変更の日から10日以内に出します(施行規則第104条で準用する第42条第2項)。どの工事が変更の届出に当たるかは「熊本で風俗営業の許可のあとに改装したら?先に承認が要る工事と届出で済む変更」で説明しています。
お店の場所の制限

1号の許可は、お店が条例で決められた地域の中にあると出ません(第4条第2項第2号)。熊本県の条例は、次の地域を決めています(同条例 第3条)。
- 住居系の用途地域8種類(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域)
- 学校(大学と幼稚園を除く。建てることが決まった土地も含む)の敷地から、第1種地域では50メートル、第2種地域では70メートル、第3種地域では100メートル以内
- 病院と、10人以上の患者を入院させる施設がある診療所(どちらも商業地域にあるものを除く)の敷地から、第3種地域では50メートル以内
第1種地域は熊本市中央区・八代市の決められた区域(条例第4条第3項の区域)、第2種地域はそれ以外の商業地域、第3種地域はそれ以外の地域です(条例 別表第1 備考)。
深夜酒類提供飲食店営業も、熊本では住居系の用途地域では営めません(条例 第12条)。ただ、学校や病院などからの距離の制限は、深夜酒類には無く、1号にはあります。 いま深夜酒類で営業できている場所でも、近くに学校や病院があると、1号の許可が出ないことがあります。接待を始めることを決める前に、周りの施設との距離を測っておくことが大切です。距離の測り方と、第1種・第2種・第3種地域の見分け方は「熊本で風俗営業の許可が取れない場所は?用途地域と学校・病院からの距離」で説明しています。
よくある質問
1号の許可を受けると、深夜酒類の届出は自動的に無くなりますか
いいえ。風営法は、深夜酒類提供飲食店営業を廃止したときに、届出をした人が廃止の届出書を出すよう定めています(第33条第2項)。許可を受けても、この届出が代わりに出されるわけではありません。深夜の営業をやめたら、やめた日から10日以内に廃止の届出を出します。
客室が1室だけの小さなお店でも、16.5平方メートルの基準はかかりますか
かかりません。1号の客室の広さの基準は、客室の数が1室だけの場合は当てはまりません(風営法施行規則第7条の表 第1号ただし書)。深夜酒類の9.5平方メートルの基準も同じです(第99条第1号ただし書)。外からの見通しや明るさなど、ほかの基準はかかります。
出典・参考
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)…第2条・第3条・第4条・第5条・第13条・第24条・第32条・第33条・第49条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)…第7条・第42条・第99条・第101条・第104条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)…第1条・第22条
- 熊本県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(熊本県例規集)…第3条・第4条・第5条・第12条・別表第1
- 熊本県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例第4条第2項第4号に規定する日及び地域を定める規則(熊本県例規集)…別表
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)(警察庁)…第17「風俗営業の規制について」の2「営業時間の制限」
- 風営法に係る各種様式(熊本県警察)
まとめ
- 1号の許可が出るまでは、接待をしないお店として営業できます(0時以降に主にお酒を出すなら深夜酒類の届出)。接待は許可が出てからです
- 1号の許可を受けると、風俗営業は原則0時までです。熊本では、一部の地域と決められた日だけ1時まで営め、日付は0時を過ぎたあとの日で数えます
- 深夜の営業をやめたら、10日以内に深夜酒類の廃止の届出を出します。続けるなら、お客様と接客の従業員を全員帰し、別会計にして、営業の続きを完全に断ちます
- いま深夜酒類で営業しているお店も、1号の許可を新しく申請し、平面図と周囲の略図などを申請書に付けます
- 1号は客室の広さ・外からの見通しの基準が厳しく、学校や病院などからの距離の制限もかかります。客室の広さ・仕切り・照明などを変える工事をするなら、深夜酒類の変更の届出も忘れずに出します
風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店営業の届出は、当法人にご相談ください
ノーサイド行政書士法人は、熊本で風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店営業の届出を支援している行政書士法人です。
- プレオープンから1号の許可、許可後の営業時間まで、開業日から逆算して段取りを組みます
- いま深夜酒類で営業しているお店が接待を始められるか、客室の広さ・見通しと、周りの施設との距離から確かめます
- 1号の許可の申請と、深夜酒類の変更・廃止の届出をまとめてお受けします



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